香典袋を用意する際に、「御霊前」と書かれた短冊を使うことが多いですが、文字が黒墨で印刷してあるのを見ると、自分の名前は薄墨で書かなければならないのかと迷うこともあります。
また、内袋に名前や住所を記入するときに、黒のボールペンを使っても大丈夫なのかも気になるところです。
本記事では、香典袋の短冊に薄墨が必要かどうか、そして内袋を記入する際にどんな筆記用具を使うのが適切かについて、最低限知識として知っておきたいマナーポイントをお届けします。
香典袋の短冊は薄墨で書くべき?
一般的には、香典の文字は控えめな薄墨で書くのが伝統で葬儀という厳粛な場にふさわしい表現とされています。
ただし、短冊の文字が黒墨で印刷してある場合は、全体の統一感を出すために黒墨を使っても良いとされています。
なぜ薄墨を選ぶの?
象徴的な意味
薄墨は、悲しみや涙を象徴し、故人への深い哀悼の気持ちを表現します。
伝統的なマナー
古くからの慣習として、薄墨で書くことが礼儀とされています。
もちろん、黒のボールペンは見やすく、急いで準備する場合には便利ですが、できれば薄墨を使うのが理想的とされています。
薄墨が難しいときは?
薄墨で書くのが苦手な場合は、サインペンなどを使用する方法もあります。
これにより、読みやすさと伝統的な表現のバランスが取れます。
黒墨を使う際のポイント
受け取る側の心象
受け取る側が薄墨や黒墨をどの程度気にするかを考慮しましょう。
無地の短冊の使用
伝統的な印象を与えたい場合は、無地の短冊に薄墨で記入すると良いでしょう。
文字の一貫性
短冊と内袋の文字の濃さを統一して全体の印象を整えると良いです。
読みやすさ: 最も重要なのは、情報が明確に伝わることです。
香典袋の短冊に薄墨を使うかどうかは、伝統と現実のバランスを考慮して決めることが大切です。
適切な筆記用具や文字色の選び方は、その場の状況や相手の感覚に応じて対応することが求められます。
内袋の記入に関しても、薄墨が理想的ですが、状況に応じて黒のボールペンを使うのも一つの選択肢です。
香典の金額の記載方法
香典の金額は漢数字で縦書きし、伝統的には旧字体を使うのが望ましく、例えば1万円を香典として包む場合は、「壱萬圓」と書きます。
香典の金額については、偶数の数字は避けるのが一般的です。
偶数は割り切れるため、故人や遺族との関係が終わることを連想させるからです。
もし偶数の金額を包む場合は、お札の枚数が奇数になるように工夫するのが良いでしょう。
漢数字 | 旧字体 |
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
四 | 肆 |
五 | 伍 |
※一般的に禁忌とされる数字(「4」や「9」など)の金額は避けます。
旧字体 | |
千 | 阡 |
万 | 萬 |
円 | 圓 |
「御霊前」と「御仏前」の使い分け
香典袋に「御霊前」と書いてあるものは、故人の49日忌までに使用され、それ以降は「御仏前」を使います。
これは仏教の宗派で異なる場合もありますが、「御香典」と書かれた袋を使うと無難です。
また、中袋なしで現金を包む場合は、新札の使用は避け古札を使い、肖像画が裏面にくるようにするのがマナーです。
香典袋の正しい入れ方
香典袋の内袋を正しく外袋に入れる方法も、適切なマナーの一部です。内袋の表面(金額が記載された面)が外袋の表側に来るように配置し、外袋から内袋を取り出す際にもスムーズに取り出せるようにしましょう。
中袋の使用について
必ずしも香典袋に中袋を使うことはありません。
中袋が入ってないタイプの香典袋も市販されていて、中袋を使うことが不幸が重なるとされると考えられる一部の地域も存在します。
しかし、一般的には中袋に住所や金額を記載し、それを外袋に入れるのが通例です。
中袋がない場合は、直接香典袋の裏に記載します。
内袋の記載事項と書き方
内袋に名前や住所を書く時は、読みやすさを考慮して黒のボールペンも許容されることがありますが、薄墨やサインペンの細字が適しています。
葬儀などの場面では、こうした細部にまで心を配ることが故人への最後の敬意となります。
内袋の正しい入れ方
内袋を香典袋に入れる際は、内袋の表(金額が書かれた面)が外袋の表側にくるように配置することにより、外袋から内袋を取り出すときに金額がすぐに確認できるようになります。
この配置方法は、香典を受け取る側がスムーズに内容を確認できるようにするための配慮です。
内袋の名前や住所を記入する際の注意点
読みやすさ
黒のボールペンは見やすさを提供しますが、薄墨は故人への敬意を示す伝統的な方法です。
書きやすさ
薄墨は書き慣れていない方には難しい場合があるため、筆圧が弱い場合はサインペンの細字を選ぶと良いでしょう。
場の重要性
通夜や葬儀などの特に重要な場面では、相手の感情を考慮して薄墨で丁寧に書くことが望ましいです。
香典袋の取り扱いや書き方には、多くの慣習がありますが、それぞれの文化や宗教に応じた柔軟な対応が求められます。
故人やその家族への配慮を最優先にして行動することが大切なので、地域や家族の慣習に合わせた方法で香典を準備することが望ましいです。
香典袋への記載は、字の上手さや得意不得意もありますが、時間をかけても丁寧に書くことが大切で特に金額や住所は正しく丁寧に記入します。
旧字体の使用や縦書きでの記載は、格式を重んじる場面での敬意を表します。
香典袋の表や中袋の書き方は?薄墨で書く理由や記載マナー…最後に
香典袋の短冊や内袋の書き方は、受け取る側の印象や読みやすさ、そして何よりもその場の状況と相手の感情を尊重することが大切です。
伝統的な薄墨を使うことは故人への最大限の敬意を示す方法ですが、状況に応じて柔軟に対応することで、適切な礼儀を尽くすことができます。
以上の点を考慮し、それぞれの場面において最適な選択を行い、香典袋一つにしても故人への敬意と遺族への配慮を忘れずに行動したいですね。